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加賀野菜を学ぼう

TVCMやグルメ番組で紹介された事などにより認知され始めた加賀野菜。
長い年月を経て、それぞれの地域の気候・土壌・食生活などに対応するように選抜されてきた
地方品種(または在来品種)の一つ。伝統野菜とも言われます。
全国各地で伝統野菜を復活させ、まちおこしの一環にしようと考える自治体が増えてきた中で、
京野菜とともに加賀野菜が注目されるのはなぜなのでしょうか?

 本日は、加賀野菜を専門に販売している北形青果(株)から北形謙太郎店長をお迎えして、
加賀野菜の歴史、販売上のエピソードを交えた品目の紹介、さつまいも(五郎島金時)と
加賀蓮根の食べ比べを実施。加賀蓮根は節による食感の違いも楽しみます。
さあ、加賀野菜の魅力に迫る2時間の始まりです。

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日時:平成19年9月29日(土) 13:00~15:00
講師:北形謙太郎 先生 (北形青果株式会社 近江町本店店長)
会場:協会本部渋谷第一教室

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【加賀野菜とは?】

  『昭和20年以前から栽培され、
現在も主として金沢近郊で栽培されている野菜』
です。

現在認定されているのは、下の15品目。

■さつまいも       ■加賀蓮根
■加賀太きゅうり    ■金時草(きんじそう)
■ヘタ紫なす       ■加賀つる豆
■赤ずいき        ■源助大根
■金沢一本太ねぎ   ■二塚からし菜(ふたつかからしな)
■たけのこ        ■せり
■くわい         ■金沢春菊
■打木赤皮甘栗南瓜(うつぎあかがわあまぐりかぼちゃ)


 そして、この中で秀品に分類されたものだけにブランド認定シールを貼付。
“いいね金沢 食べまっし加賀野菜 美味風土”と記載されたシールは、
高品質な加賀野菜である事を生活者に約束しています。


【加賀野菜の紹介】

 北形先生のお話の中で、印象に残った品種をいくつかピックアップします。

≪加賀太きゅうり≫
 1本の重さは、800g前後。某ビールのCMで一躍有名になりました。
CMが放映された直後は、注文が殺到。なんと1ヶ月で50本だった注文が、1日で200本に急増!
その後2週間ほどは、注文をさばく為に地獄のような忙しさだったそうです。
しかし、CMを真似て生で丸かじりしたお客様からの評判は、「固い」「苦い」「マズイ」と散々な結果に。

 それもそのはず。皮の部分は固く苦味があるうえ、生食しても美味しくないからです。
(だから、金沢では丸かじりで食べる事はしません!)
ゆえに、CMを見た地元のお客様は、「あんなん食べていいんけ!?」と話していたそうです。

加賀太きゅうりは、皮をむいて種を取り出してから調理するのが基本。
煮ると柔らかくなり、冬瓜のように汁気を吸う。ツルッとした舌触りと、キュウリの香り・ほろ苦さが
楽しめるのが魅力。あんかけや漬物にしたり、塩でもんで酢のものにして食べられています。

 「このままでは加賀太きゅうりの魅力が伝わらない!」と考えた北形先生は、
地元の調理法を書いた紙と一緒に送りました。でも、その思いがなかなか伝わらず、悲しい思いをしたそうです。


≪金時草(きんじそう)≫
 名前の由来は、葉裏が金時豆のような赤紫色をしているところから。
紫の色素は、ポリフェノールの一種であるアントシアニン。
熊本県で水前寺菜として栽培されていたものを、金沢の農家が持ち帰ったのが始まりと言われている。
金沢で栽培された方が、茎が太く葉が厚く大きくなる。

 ビタミンA、鉄分、カルシウムが豊富で、血圧抑制効果も期待される夏の健康野菜。
北形先生の奥様が、妊娠中に鉄分不足を指摘されました。
そこで、金時草を毎日食べたところ、鉄分不足が大幅に改善。
主治医が「どうしたんですか、北形さん!!」と驚くほどだったそうです。

 若芽と葉を食用にする(茎は食べない)。刻んだり火を通したりするとぬめりが出る。
しかし、モロヘイヤのような青臭さやクセは無い。
 金沢では、主におひたしや三杯酢和えで食べている。居酒屋メニューの定番で、店によって味が異なるそうです。
おひたしを作る場合は、ぬめりと葉脈のシャキシャキ感を活かすため、
熱湯で10秒程度さっと塩茹でし、もんでヌメリを出すと良いとのこと。
 生命力が強く、茎を水に挿しておくだけでわき芽、葉が出てくる事があるそうです。
(お土産に頂いた金時草を水に挿して窓辺に置いておいたら、
なんと、一週間ほどで新芽と根が生えてきました!! どのくらい育つか楽しみです。)


≪加賀蓮根≫
 4つくらいの節に分かれている加賀蓮根。節によって別品種と思うほど味わいが異なります。
この特徴を活かし、節によって食べ方を変えるのが金沢流。

 土中深く埋まっている1節目(頭と言われる)は、柔らかくモッチリしている。煮物向き。
地上に近い4節目(尻尾と言われる)は、固くシャキシャキした歯ざわり。きんぴら向き。
中間にある肉厚な2~3節目は、天ぷらに。
実際に食べてみると、節によって品種が異なるのではと思うほど食感が違いました。
北形先生のお店では、蓮根を小分けで販売する場合、用途を表示して店頭に並べるそうです。
また、粘りが強いので、すりおろして団子汁や蓮蒸しにする時につなぎは要らないのだとか。

 味の特徴を楽しむには、3日以内に食べ切るのがベスト。泥つきのままだと雑菌が入りやすくなります。
泥を洗い落とし、ラップで空気が入らないように包み、冷蔵庫で保存すれば、2週間くらいは食べられます。
しかし、洗うと味はガクッと落ちてしまうので、要注意。


≪源助大根≫
 甘みが強く、肉質がやわらかいのに、なかなか煮崩れしない。
ふろふき大根・おでんに適する品種として認知されつつあります。

 あるコンビ二が、おでんの具材として使おうと大量注文。
JA全農いしかわが総力をあげて生産量を増やそうとしました。
しかし、この品種は栽培が難しいため(なぜなら、割れ・裂けの発生率が高い)、
注文数には程遠い量しか生産できなかったそうです。

 北形先生のお宅ではこの特徴を活かし、カレーの具に使うそうです。
少し炒めてから、スープやカレー粉を入れて作る、奥様自慢のメニュー。どんな味なのでしょうか?
源助大根が手に入ったら、おでんと共に試してみたいと思います。


 この他にも楽しいお話は続き、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
「(皆さんを)飽きさせませんよ♪」という言葉は本当でした。きっとお客様にも同じように話されるのでしょう。
近所にこのような八百屋さんがあると楽しいだろうなあと思いました。

【文化を守るということ】

 近年注目されつつある加賀野菜ですが、生産量を増やせずにいます。それは、伝統野菜特有の性質や、
加賀野菜が置かれている状況によるものと考えられます。

その理由をいくつかあげると、一つは、栽培が難しいこと。
障害が発生しやすい性質を持つ品種が多い点、
土壌や農家の生産技術よって良品の生産量が大きく左右される点があります。
 また、伝統野菜の種は、翌年以降に植える分を農家が自ら採種し(自家採種)、受け継いでいくものなので、
おのずと生産量に一定の限界が生まれること。
そして、生産農家が激減したこと。生産農家が2~3軒しか残っていない品種もあり、
あと数年で生産者がいなくなる可能性があるものも出てきました。

 その原因は、F1品種をはじめとする交配種が市場を席巻していったから。
F1品種は、生活者のニーズに合致するよう学術的研究の成果を取り入れて意図的に作り出されたもの。
多収性があり病気にも強く作りやすいので、多くの農家は生産効率の悪い地方品種を放棄して、
F1品種の種を種苗会社から毎年買うようになりました(なぜなら、F1品種の種を蒔いても親と同じ実ができない為)。

 しかし、個性的な多くの地方品種が消え行く中で、加賀野菜は踏みとどまりました。
それは、次にあげる3つの要素が融合しているからだと考えられます。

▼ 加賀野菜を保護・育成していこうと立ち上がった人々の存在
   ‥(加賀野菜保存懇話会〔1991年設立〕から金沢市農産物ブランド協会〔1997年設立〕へ)     
▼ 加賀野菜の魅力を引き出す料理が、各家庭や料理店に引き継がれていること。
   ‥(美味しく食べる方法が受け継がれている強み。美しく演出する伝統工芸品の存在(九谷焼・漆器)など。)
▼ 金沢の人々が、四季折々の地元の食材を大事にして食べ続けてきたこと。
   ‥(地元のものを食べる事が、当たり前のように生活の中に溶け込んでいる。)

 金沢の人々の郷土を愛する心が、加賀野菜を存続の危機から救い、
その魅力をさらに引き立てているのではないでしょうか。これが、多くの人々を引き付ける理由だと思います。

文化とは、
地元の風土に合った良いものを大事にしていくことで、
守り育てられ継承されていくもの。


加賀野菜は、我々にそう教えてくれているような気がします。

加賀野菜  加賀野菜

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日本ベジタブル&フルーツマイスター協会の公式HPに、
このレポートが掲載されました。

こちらをクリック してご覧ください。

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プロフィール

平田 実

Author:平田 実


日本野菜ソムリエ協会認定
■ 野菜ソムリエ (中級・緑)
■ ジュニア・アスリート
     フードマイスター

 子供の頃はかなりの偏食。
「サラダを食べなさい
   なんて言う人は鬼!!」
そう思ってました。
 それが今では野菜ソムリエ。
人生、何が起こるか分からない
ものです。

 四季折々の素材の味とハーモニーを楽しんだり、食に携わる人達と交流ができたり。
 好き嫌いを減らして色んなものが食べられるようになる楽しさを多くの人達に感じて欲しいと考えています。

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筆者より

ここは、私の食関連レポートの公開書庫。
野菜・果物、素敵なレストラン&カフェ、スポーツ栄養学etc.について、
私自身が、「将来、もう一度読み返したい」と思えるような文章を書けたときに掲載していきます。
更新頻度は、年に数回程度になると思いますが、気が向いた時に遊びに来ていただければ幸いです。

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